Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

モンゴルの農地開拓と保全に関する基礎的調査研究 I. 特にズーンハラー土壌の物理・化学的諸性質について

Nagahori, Kinzo
Amaya, Takao
Abstract
畜産業が国家経済の主力を占めるモンゴルにおいて,産業構造変革への努カと相まって,農産業の比率は次第に増加しつつある. 日蒙学術交流の進展により,モンゴルにおける現地調査を行なう機会を得た筆者は,乾燥気候下での安定した農業生産基盤づくりのための合理的なカンガイ組織,造成した農地の風食や水食に対する保全等,研究すべき多くの課題を見い出した. 本報告はまずその基礎として,農業生産の基盤である土の物理・化学諸特性について実験・検討を加えたものであり,その結果は以下のごとく要約される. 試料土は,未耕作土と耕作開始後2,6,10年を経過した畑において,各地点上下2層から採取した. まず化学性については,土壌生成母材はレス(火山灰風積土)で,調査地点すべて同一と考えられる. 耕作開姶後は,全炭素含量の減少,C/N比の低下,pHの低下など2,3の性質に耕作の影響が若干みられるが,化学分析結果は中程度の値を示す上であることを示した. 次に物理性については,三相分布結果から本土壌は自然状態においてかなり密な土壌構造を形成しており,耕作により経年的に団粒構造が発達すると思われ,これはpF~水分曲線で低pF域での保水性が増大する傾向からうかがわれる. この結果からみると,日本における沖,洪積土壌の畑地に類似した性質と思われる. 次に粒径分布から,ほぼSiCに分類されやや微細な構造であるが,風乾によるコンシステンシー値の低下は非常に小さく,降雨量が極端に少ない気象条件下で,十分な風乾作用を受けた結果と考えられる. このように,微細で強度の乾燥作用を受けた土壌は,水食や風食の影響を大きく受けると推測され,耐水食性についてはミドルトンの侵食率測定結果から,強度の受食性土壌であることが示された. 実際のカンガイ計画については,今後蒸発散量や土壌構造の面からさらに検討する必要があろう。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029