Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

日本ウズラの近交群と無作為交配群における初期胚に及ぼすアンティマイシンAの影響

Sato, Katsunori
Onishi, Yoino
Kawamoto, Yasuo
Ino, Takayoshi
Abstract
本研究は近交による発生前期での胚死亡の原因に関する情報を得るために,代謝拮抗物質であるアンティマイシンAが日本ウズラの近交群と無作為交配群における初期胚に及ぼす影響について検討した. 実験に使用した日本ウズラは近交群1世代と6世代および無作為交配群である. アンティマイシンAのLD50値の検討にあたっては,原液(25mg/95% エチルアルコール5ml)の6段階稀釈濃度が孵卵後48時間目の種卵の卵黄中に0.015ml注入された. 次に無作為交配群でのLD50値が近交群と無作為交配群の種卵の卵黄中に注入された. なお,注入方法はLD50値検討の場合と同様とした. 注入された種卵はさらに48時間孵卵し,胚死亡率,胚発育,胚奇形の出現率について検討した. 胚奇形は7種類に分類した. 得られた結果は要約すると以下の通りである. 1、アンティマイシンAのLD50値は近交群では1世代目440.5ng,6世代目176.0ng,一方無作為交配群では538.7ngとなり,近交群でのLD50値は近交世代に伴い急激な低下が認められた. 2.無作為交配群のLD50値を使用した場合,近交群での胚死亡率は近交に伴い増加し,無作為交配群のものに比較して高い値を示した. また,近交群では発育の遅延した胚,体の小さい胚および血管の未発達な胚が多く認められた. 3.胚奇形の出現率についてLD50値を使用して検討した結果,近交群では無作為交配群に比較して有意に高い出現頻度を示した. 分類された胚奇形の中で,屈曲と発生不全・矮小の胚奇形の出現頻度は近交世代を進めるにつれて高くなった. 4.以上の結果から,近交群では初期胚の代謝活性が低下し,そのために発生前期での胚死亡が増加したものと考察した。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029