Bulletin of Higher Education Okayama University
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文学史から文学場へ:室生犀星と日本近代詩(2)

上田 和弘 岡山大学言語教育センター
抄録
ある時代のある特定の時期に書かれ発表されたさまざまな文学テクストをながめたばあい、ときにジャンルさえ越えて、そこに流行語のようにいくつかのある特徴的な語や表現が時を同じくして出現してくることがある。それはもちろん作家(詩人)から作家(詩人)へのなんらかの影響関係がそこにあったからだとまずは考えられよう。しかしこれは必ずしもたんに一方から他方への単方向的な影響というのではなく、作家(詩人)たちのあいだで、いくつかの条件があわさって、ほとんど同時発生的にある共通ないし類似の語や表現が生まれたり用いられたりすることもあったのではないか、また、あくまで個々の作品から遡及的にしか見いだされぬとしても、そうした共通ないし類似の語や表現を生みだすことを可能にした、ある時代のある特定の時期に成立していたと想定される表現可能態の言語空間がそこに潜在していたのではないか――本稿は、その空間をピエール・ブルデューの用語を借りて「文学場」の名で呼んで、20 世紀初頭における日本の近代詩と19 世紀中葉におけるフランスの近代詩をそうした「文学場」という観点からとらえなおす試みである。
キーワード
文学場
日本近代詩
室生犀星
北原白秋
斎藤茂吉
ISSN
1881-5952
NCID
AA12114090