Bulletin of Higher Education Okayama University
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柳永の遊仙詞-「巫山一段雲」を中心として-

藤原 祐子 岡山大学言語教育センター
抄録
北宋の大詞人柳永は、詞という文学ジャンルに様々な新しい主題を取り込んだ。そのうちの一つに、遊仙」と呼ばれる一主題がある。本稿では最初に、遊仙の主題を以て詠まれた柳永の「巫山一段雲」五首が、どのような内容をもつものであるか、簡単な訳注を附して解説する。その上で、柳永の遊仙詞が中国古代遊仙文学の流れの中の、どこに位置づけることが出来るのかを考えていく。唐五代までの遊仙文学は、「現実に対する不満・諷刺」「国家・君主に対する言祝ぎ」をその二大潮流とする。柳永の「巫山一段雲」はどちらかと言えば後者に傾倒するが、人の長寿を祝するという側面がより強く、さらに女仙がしばしば登場する所が特徴的といえる。南宋以後、詞の分野には自分や身近な人々の誕生日を祝う「寿詞」というジャンルが確立するが、その先駆けとなるのが柳永のこれらの詞であり、しかも内容的に一つの典型を作ったということができる。また、柳永が「巫山一段雲」という詞牌を用いて遊仙を詠ったことが、金代以後の全真教道士たちの作詞に強い影響を与えたと考えられる。柳永の遊仙詞は、従来あまり注目されることがなかったが、このような金朝や南宋以後の詞壇に対する影響は、決して看過してよいものではない。
キーワード
柳永
遊仙
巫山一段雲
寿詞
道士
ISSN
1881-5952
NCID
AA12114090