Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

Mentha piperita L. の起原に関する研究

宇渡 清六 岡山大学
清水 純夫 信州大学農学部農産製造学研究室
池田 長守 岡山大学
抄録
(1)M. piperita L. は,形態的に,M. aquatica L. とM. spicata L. の中間にあつて,両種の交雑に由来すると言われているが,筆者等は,欧州及び北米から直接とりよせた栽培系統,古く輸入されて,わが国で標本的に栽培されている系統および,栽培系統の野生化したものと考えられる自生系統等,合計8系統のM. piperitaを選んで供試し,形態的,細胞学的観察を行ない,精油を分析し,さきに育成したM. aquatica×M. spicataのF1と比較した.(2)6系統のM. piperitaは,2n=72で,これらは,単に外部形態のみならず,体細胞染色体数,減数分裂の際の染色体の行動,稔性なども,全くF1(2n=72)と一致した.それ故,2n=72のM. piperitaは,M. aquatica×M. spicataのF1そのものであるという結論に達した.(3)2系統のM. piperitaは,それぞれ,2n=120および2n=96であり,染色体数はF1と異なるが,形態は酷似していた.その起原については,前項の6系統と同様,M. aquatica×M. spicataに由来し,2次的に,染色体数に変異の起つたものと考えた.(4)M. piperitaの精油主成分は,メントールとメントンである.然るに,M. aquatica×M. spicataのF1の精油主成分は,ピペリトンあるいはプレゴンであつて,メントンやメントールは,ほとんど含んでいない.したがつて,F1の精油には,M. piperitaの精油のごとき,芳香が少なく,この点,両者間に一致が見られなかつた。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029