岡山大学教師教育開発センターActa Medica Okayama2186-132392019小学校における児童のいざこざの分類と教師の介入解決方略としてのミディエーションの有効性3346ENTazukoAokiAyakaYamazakiYayoiOkumuraMotokoMiyakeMasanobuKimura10.18926/CTED/56539 子どものいざこざは一般的には起こらないほうがよいと考えられている。他方で,子どもの社会性の発達を促すポジティブな面も指摘されている。本研究では小学校におけるいざこざの実態を調べ,有効な教師の介入解決方略を明らかにすることを目的とした。研究1では,教育実習を終えた大学生126名に質問紙調査を実施し,いざこざの内容を分類した結果,7種が見出された。研究2では,小学校の学級担任93名に,7種のいざこざ場面のシナリオを提示し,どのような介入解決方略をとるか尋ねた結果,ミディエーション(双方の子どもから話を聴き,子どもから解決策を引き出す方略)が,7つのうち5つの場面で最も多くとられていた。研究3では,経験豊富な管理職39名に,より解決が難しい3場面での介入解決方略について尋ねたところ,全ての場面でミディエーションが最も多かった。以上の結果から,小学校における教師のミディエーションの有効性について論じた。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学大学院教育学研究科Acta Medica Okayama1883-24231702019効果的なチーム支援を引き出すカウンセラーの関わり方 : システムとして機能するチームをつくるために4150ENTazukoAokiGraduate School of Education, Okayama UniversityTakahiroNakatomiEsperance Yokkaichi children’s homeTomoyoTokudaA Faculty of Literature, Kurume UniversityAtsushiMorimotoOkayama Joto Senior High School 人が生物学的な存在であると同時に社会的な存在であることを考えると,カウンセラーが個人を支援しようとする場合,個別の支援の他に、その個人を取り巻く様々な援助資源をうまく機能させて,チームで支援することも不可欠となる。では,効果的なチーム支援を行うために,カウンセラーはどのように関わればよいのだろうか。本稿では,カウンセラーがチーム支援を引き出した成功例として3つの実践を取り上げた。具体的には高等学校内での転入職員の支援,大学の学生相談での長期欠席者の支援,児童養護施設での児童の支援と,クライエントの援助資源が異なる3つである。しかし,そこでのカウンセラーのかかわり方には,ある共通点が見いだせた。本稿では,その共通点を箕口(2016)の「コミュニティ・アプローチを実践する心理援助の専門家の要件」に沿って考察した。最後に「協働」「どのようにサービスを提供するのか」という観点から考察した。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教育学部附属教育実践総合センターActa Medica Okayama1346-3705612006カンザス州(米国)で見たスクールカウンセラーの活躍;小学校編119129ENTazukoAokiカンザス州の学校では、複数の心理系専門職が学校教育に関わっている。その中でスクールカウンセラーは学校に常駐で勤務している。ではスクールカウンセラーは、学校でどのような仕事をしているのだろうか。本稿は資料とインタビューに基づいて、小学校のスクールカウンセラーの仕事を具体的に紹介した。例えばスクールカウンセラー達は州のカリキュラムに沿って、全生徒に対して人格・社会性の発達支援領域、教育・学習支援領域、キャリア発達支援領域など、3領域の発達支援をしていた。その際、適切な効果を上げるため、地域、他の教育機関との連携役、保護者の支援、教師の支援、などを行っていた。スクールカウンセラーの仕事は一見とても多様に見える。しかし、子ども達が社会に適応してゆくことを支援する専門家だと考えると、複雑な仕事内容も理解しやすいことが伺えた。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教育学部附属教育実践総合センターActa Medica Okayama1346-3705212002アメリカの小学校に見る品性徳目教育とその運用4759ENTazukoAoki本稿は、アメリカで近年取り組み始めた品性徳目教育について、著者の子どもたちをアメリカの小学校に通わせた体験、あるアメリカの小学校で実際に用いられている校内研修用資料、一般書店で販売されている教師用手引をもとに、品性徳目教育の内容と実際の学校での運用を具体的に紹介するものである。内容的には、アメリカの道徳教育の変遷、品性徳目教育と従来の道徳教育との比較や学校での実際の運用の仕方、クラス討論の仕方に関する資料を取り上げた。アメリカの学校で行われている品性徳目教育は、学校やクラスごとに定められたものではなく、学校区全体で定められ、幼稚園から高校まで共通となっている。小学校では、毎月一つずつ取り上げて討論し、道徳的思考力を高めるだけでなく、実際に行動できるように実行力を養うことに力が入れられている。係の仕事の評価、問題行動の更生のためにも品性徳目がベースとなっており、児童の問題行動について保護者とコミュニケーションを取る際にも役立っていた。未来の良き市民と育成することを目標に、親切でより温かみのある、責任感ある地域社会をつくるため、地域と学校が品性徳目を要として連携し、子どもを育んでいこうとする姿が窺えた。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.岡山大学教育学部Acta Medica Okayama0471-400813112006日中の高校生にみる時間的展望と一般的統制感の関係 ―普通科、専門科の比較と性差を含めて―123129ENTazukoAokiXiaoyunGong経済成長の著しい中国と日本の高校3年生819人を対象に、次のような観点で時間的展望の比較を行った。それは、@両国の高校生は同じような時間的展望を持っているのだろうか、A一般的統制感は時間的展望に影響を与えているのだろうか、B生徒の学校での専門性は時間的展望に影響しているのだろうか、である。スキル性の高い専門は、スキルが将来の職業に直接結びついているので、一般的統制感と結びついた時間的展望を持っているだろうと考えた。そしてスキル性の高い専門として、工業科、音楽科を、スキル性の低い専攻として、商業科、普通科を設定した。結果は次の通りであった。中国の生徒は日本の生徒より未来展望の得点が高く、一般的統制感は現在の時間展望と関係が強い。また、国による文化差、性差、専攻差は多様な側面で見られた。この結果から、一般的統制感だけでなく、国の歴史、経済、専門性、性別などが高校生の時間的展望に影響を与えていることが窺えた。No potential conflict of interest relevant to this article was reported.