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ID 7759
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7759
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著者
高江洲 賢文 岡山大学
抄録
本研究は、沖縄県の主要作物畑における雑草の発生の実態および特性を周年変化、種組成および生活型組成によって把握するとともに、主要雑草の雑草的特性と作物lこ及ぼす雑草害を明らかにして各作物畑における雑草の発生機構を解明することによって、雑草の合理的管理体系の確立を図ろうとしたものであり、その研究成果の概要は以下のように要約できる。I 主要作物畑における雑草群落の周年変化 サトウキビ畑では、春植え畑、株出し畑とも雑草との競合は6月頃までが著しく、その際の優占種は、春植え畑ではメヒシバ、ムラサキカッコウアザミ、ホウキギク、イヌビユ、株出し畑ではメヒシバ、オガサワラスズメノヒエ、タテアワユキセンダングサであった。その中で、タチアワユキセンダングサは夏以後においても被度、草丈とも高くなるため、生育後半でもサトウキビとの光競合を生じ、著しい雑草害を招くおそれがあり、サトウキピ畑の強害草として注目する必要があった。また、ムラサキカタバミは、植被率は極めて高いが草丈は低いためサトウキビとの階層構造が異なり、光競合がないことから、草生栽培による雑草管理の可能性が示唆された。2 パイナップルは春植え、株出しとも周年にわたって雑草と競合し、春植え畑ではタチスズメノヒエ、ムラサキカッコウアザミ、オガサワラスズメノヒエ、コメヒシバ、メヒシバ、ウシノタケダグサ、株出し畑ではメヒシバ、ムラサキカッコウアザミ、タチスズメノヒエ、オガサワラスズメノヒエが優占種として周年または長期出現した。中でもタチスズメノヒエがその生育特性からパイナップル畑の最も重要な雑草と考えられた。3 野菜畑ではウシハコベ、ヤエムグラの越年草の出現が多く、とくにウシハコベは出現期間が長く、被度も高いため、野菜畑の最も重要な雑草と考えられた。また、休閑期の管理不良畑では、休閑期の出現種が栽培期間にも出現して周年出現した極も多く、休耕中の雑草防除の重要性が示唆された。4 各作物畑における雑草の年間出現種数は、耕起や中耕が多く、丁寧な肥培管理の行われる野菜畑で多く、耕起の少ないパイナップル株出し畑は最も少なかった。また、季節別出現極数は、サトウキビ畑では春から季節を追って減少し、パイナップル畑と野菜畑では夏季に少なく冬春期に多かった。5 各雑草の作物別出現型は、全作物(作型)で周年出現した草種の他、栽培条件によって出現期間が延長または短縮された草種、一部の作物畑だけで出現する草種があった。6 畑雑草の出現種数は、周年出現型を基本組成として、長期春出現型と長期秋出現型の季節出現型の多少によって変動した。II 主要作物畑における雑草の群落組成 1. 本調査における全出現種数は57科222種であった。作物畑によって環境条件が大きく異なるため、総合常在度IV以上は見られず、総合常在度I(ただし、出現頻度10%以上)~IIIを示したのは28種であった。常在度の上位を占めた28種のち12種が沖縄特産種であり、地域性を反映した雑草群落であった。2. 各雑草の発生特性をみると、3作物畑共通出現種、2作物畑共通出現種、1作物畑単独出現種があったがサトウキピ畑では単独出現種はなく、パイナップル畑かあるいは野菜畑との共通出現種であった。また、パイナップル畑・野菜畑共通出現種は見られなかった。3. 各作物畑における出現雑草の常在度および優占種の出現率から、各々の作物畑の主要雑草として以下の草種を摘出した。サトウキピ畑:ムラサキカッコウアザミ、オガサワラスズメノヒエ、メヒシバ、タチアワユキセンダングサ、パイナップル畑:タチスズメノヒエ、オガサワラスズメノヒエ、メヒシバ、野菜畑:ヤエムグラ、ウシハコベ、ムラサキカタバミ 4. 生活型組成はどの作物畑でもTh・R(5)・D(4)・eの畑地雑草型を示した。生育型はパイナップル畑、野菜畑ではeの他b tも高い値を示し、多様性があった。各作物畑では、サトウキピ畑のeパイナップル畑のD(1)野菜畑のThw、R(5)が他の作物畑より高い値を示した。5. 帰化種数は、野菜畑、サトウキピ畑、パイナップル畑の順に多く、帰化種の生活型は在来種に比べTh・th(w)、R(5)、D(1)・ D(2)、bの割合が高かった。優占種の上位出現種は帰化種が多かった。6. 各作物畑の主要な優占種は、野菜畑ではヤエムグラとウシハコベ、サトウキピ畑では広葉科雑草、パイナップル畑ではイネ科雑草であった。これらの優占種のうち注目すべき雑草として、タチアワユキセンダングサ、タチスズメノヒエ、ウシハコベ、ムラサキカタバミを摘出した。III 主要雑草の雑草的特性の実験的解明 1. タチアワユキセンダングサは、生育期間が長く、生育初期から生殖生長を行い、また、生育型も直立型(e)とほふく型(p)を併せもつ可塑性を有した。2. タチスズメノヒエは生育形態の特徴として、生青型はそう生型(t)で、分げつ茎の伸長方向は垂直に伸び、階層構造が高く、また、乾物重が大きいことから、作物との競争力が強いことが示教された。3. ウシハコベの生育形は分枝型(b)で、分技数が多く、乾物生産量も多かった。また、乾物の繁殖器官への分配率も高く、雑草的特性の強いことが示唆された。4. ムラサキカタバミの生育型はロゼット型(r) で、葉数、子鱗茎数の形成が著しく多かった。子鱗茎の形成時期も早く、さらに、子鱗茎への乾物分配率も高かった。IV 作物の生育、収量に及ぼす主要雑草雑草害 1 タテアワユキセンダングサがサトウキピの初期生育に及ぼす影響をみると、本雑草は階層構造の上層まで分布して、サトウキピの生育を抑制した。また、分げつの遅い品種では有効分げつ数が減少して、雑草害が大きかった。2 タチスズメノヒエは生育初期のパイナップルを著しく被陰して生葉数、葉身幅および生育量を減少させ大きな雑草害を及ぼした。3 野菜畑雑草のウシハコベはサヤインゲンとの激しい競合によってサヤインゲンの生育、収量を著しく減少させた。ムラサキカタバミは草丈が低く、サヤインゲンとは地上部の生育階層が異なって光競合は生じないものの、光以外の競合要因によってサヤインゲンの生育・収量を減少させた。これまでの試験結果に基づき、雑草の発生に大きく関与する、作物の雑草抑制力と耕起および、除草要因に対する雑草の側の適応性との関係から、サトウキピ畑における競合型発生機構、パイナップル畑の非耕起適応型発生機構、および、野菜畑の耕起耐性型機構を明らかにした。そして、各作物畑における雑草防除の適期を検討するとともに、雑草の管理体系として、サトウキビ畑では作物と雑草の階層構造の差異を活用する草生栽培、パイナップル畑と野菜畑は両作物畑の耕種的条件の違いに基づく、雑草の発生機構の差異を活用する輪作体系を提示した。
発行日
1992-09-30
出版物タイトル
資料タイプ
学位論文
学位授与番号
乙第2492号
学位授与年月日
1992-09-30
学位・専攻分野
博士(農学)
授与大学
岡山大学
学位論文本文
学位論文(フルテキストURL参照)
言語
Japanese
OAI-PMH Set
岡山大学
論文のバージョン
publisher
査読
不明